道路とサイン
日本発祥

【日本発祥】発明者の優しさから生まれた点字ブロック

日本では当たり前の光景となっている点字ブロック。実は点字ブロックが発明されたのはこの日本だということ知っているでしょうか?こちらでは発明者の優しさから生まれ、今では世界のスタンダードとなりつつある点字ブロックの歴史を紹介します。

点字ブロックとは

そもそも点字ブロックとは、正式名称を「視覚障害者誘導用ブロック」といい、視覚障がい者の安全な歩行をサポートするために発明されました。デザインは2種類あり、視覚に障害をもつ方が白杖や足裏の感覚でそのデザインを認識し、安全に移動できるようになっています。

  • 線状ブロック(誘導ブロック)…平行にならんだ3つのラインが突起になっている、誘導のためのブロック。線の方向が進行方向を示しています
  • 点状ブロック(警告ブロック)…格子状の点が突起になっている、注意を促すための警告ブロック。横断歩道の前や階段の前、行き止まりや駅のホームの端、案内板の前などに設置されています

点字ブロックの歴史

点字ブロックが誕生したきっかけ

点字ブロックを発明したのは、社会事業家・発明家として知られる三宅誠一さん。視覚障害をもつ方が横断歩道を渡ろうとした際、車がその目の前を横切る…というあわや一大事な光景を目にしたのがきっかけだったそうです。視覚障害を持つ方が一人の人間として自立するために、その安全歩行を支えるシステムをつくりたい。そんな強い思いから、1965年に点字ブロックを考案しました。

初めての点字ブロックと普及

初めて点字ブロックが設置されたのは1967年のこと。三宅さんが生まれ育った岡山県にある岡山県立盲学校の近くの横断歩道に設置されました。230枚もの点字ブロックは三宅さんの私費で敷設されたそうです。世界の専門家からも高い評価を得ましたが、高度経済成長期の真っ只中だった日本では福祉制度の発展がそれほど重要視されておらず、普及には至りませんでした。

点字ブロックが普及し始めたのはそれから3年後の1970年。日本盲人センターや日本点字図書館などの施設が多かった東京都高田馬場一帯に点字ブロックが採用されたのを皮切りに、地方でも点字ブロックが導入されるようになったのです。

海外の点字ブロック

日本で生まれた点字ブロックは、徐々に世界各地でもみられるようになり、とくに駅や交差点といった主要な場所に設置されていることが多いようです。日本との大きな違いは色。日本では目立つ黄色で統一されていますが、海外ではアスファルトや石畳に馴染んで目立たない灰色が主流となっています。これは美しい街並みに影響を与えないための配慮ですが、一方で弱視の人にとっては識別が難しいといったデメリットも。

点字ブロックの規定

日本では日本工業規格(JIS)によってそのデザイン・形が規定されており、国際規格もJISに基づいて定められています。統一することにより街の景観を邪魔してしまう…といった影響が考えられないわけではありませんが、やはり点字ブロックが生まれた本来の目的と意味は「視覚障害者が安心・安全に一人で歩行するため」。それを忘れたくはないものです。

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