中国発祥のものといえば、世界を変えた古代中国の四代発明(紙・印刷・火薬・羅針盤)が真っ先に考えられます。こちらでは中国で発明された印刷術に焦点をあてて、分かりやすく解説します。
印刷の誕生と発展
そもそも印刷とは、原型やテンプレートを用いて文字・写真を複製することをいいます。現在ではデジタル印刷が一般的です。最初に生まれたのは木版印刷といい、木の板に文字や絵を彫って原型をつくり、版画のようにして文字・絵を複製するものでした、その後生まれたのが活版印刷です。金属1つずつに文字に掘り、使用する際はそれを並べることで文章を作りました。
木版印刷の誕生
木版印刷が誕生するまでは、手書きで書き写して複製品を作るのが当たり前でした。中国では仏典を写経した仏教写本が多く見つかっています。当時は写経をなりわいとする「書写」という職業もあり、字がキレイな人が仏典を書き写して仏教徒たちに販売していたそうです。
木版印刷誕生のきっかけとなったのは、もともと中国にあったはんこ文化でした。木版印刷の歴史は長く、明確には分かっていませんが、6世紀中期から9世紀末に生まれたとされています。
現物として発見されているのは、868年に印刷された仏教経典『金剛般若波羅蜜経』です。6世紀・7世紀に印刷された書物は見つかっていませんが、当時の史料で印刷術の存在をうかがうことができ、6世紀中期には印刷が発明されていたのではないかと考えられているのです。
活版印刷の誕生
活版印刷は、11世紀中期頃の中国王朝の1つ・宋にて生まれました。発明したのは畢昇(ひっしょう)という発明家とされています。文章を複製する際、毎回新しく原型を作らなければならなかった木版印刷に比べて、活版印刷は一度作ったはんこのような金属を並べかえれば新しい文章を作成・複製することができました。
画期的な発明のように思えますが、しかしこの活版印刷は普及していません。アルファベットなら100本ほど活字を用意すれば、それを組み合わせて文章を作ることができますが、漢字は何千何万もの種類があり、最低20万個の活字が必要でした。あまりに膨大な数になってしまい、現実的ではなかったのです。
中国で生まれたこれらの印刷術は日本やヨーロッパに伝わり、のちにグーテンベルクで生まれる活版印刷にも大きな影響を及ぼしました。中国で印刷が生まれていなければ、文明の発展は今より随分遅れていたかもしれません。四大発明と呼ばれるにふさわしい発明と言えるでしょう。