現在世界に広まっている柔道は、日本発祥の武道です。こちらでは柔道の歴史と発祥についてまとめました。
柔道の歴史
柔道の発祥
柔道が生まれたのは1882年のこと。柔道の創始者として知られる嘉納治五郎氏(かのう じごろう)が、永昌寺で柔道を教え始めたのが始まりとされています。当時の門下生はわずか9人と二桁にも満たず、道場はたったの12畳程度。しかし、柔術のさまざまな流派から優れた点を集め、研究問い改善を重ねて生まれた柔道は、次第に門下生が増えていき、組織も大きくなっていきました。
柔道の普及
1887年頃になると課外授業として学校でも扱われるようになり、1931年には正式科目として採用されました。他校との試合も行われ、全国規模の大きな大会も開催されるように。警察でも警察官育成課程に柔道を取り入れるようになり、軍隊や町道場でも柔道が普及していったのです。
また柔道の創始者である嘉納治五郎氏は、1889年、柔道を普及するべく海を超えて、ヨーロッパにも渡りました。その渡欧の旅路のなか、からかってきた外国人を投げ飛ばした話は、嘉納治五郎氏や柔道の歴史を語るうえで必ずといっていいほど出てくる有名なエピソードです。
小柄な日本人が体格のいい外国人をあっさりと投げ飛ばしてしまう光景は、まさに衝撃的。また、投げ飛ばした相手が怪我をしないよう、頭と床のあいだに手を差し入れて助けたのも有名な話です。柔道の合理的な技、そして相手を思いやる心・精神性が評判になり、今の柔道の国際化へとつながりました。
第二次世界大戦後の発展
目覚ましい普及をみせてきた柔道ですが、第二次世界大戦直後は「武道禁止の命」によって、学校などで柔道を行うことが禁止され、その普及にかげりをみせました。復興の兆しが見えたのは1948年のこと。全日本柔道選手権大会が再び開催されるようになり、1949年には全日本柔道連盟が結成。1950年には学校などで柔道を行うことが許され、戦前以上の人気を人気を博するようになりました。1956年には世界柔道選手権大会が行われ、1964年にはオリンピックの正式種目として採用されています。
現代の柔道
今や世界的な武道でありスポーツとなった柔道。日本の競技人口はおよそ16万人といわれていますが、実は日本よりも柔道人口が多い国があり、ドイツは日本の1.125倍の18万人、フランスは3.5倍の56万人にものぼります。これだけ海外で柔道が広まっているのは、ヨーロッパに6回も渡り、柔道の普及に努めた嘉納治五郎氏の努力があったからこそ、といえるでしょう。