天ぷら
海外発祥

【ポルトガル発祥】今や日本食となった天ぷら

ポルトガルから伝わった天ぷら

天ぷらといえば今や日本の料理として有名で海外にも知られています。
実は鉄砲伝来とともに、南蛮渡来の料理としてポルトガルから伝わった調理法なのです。
ポルトガル語の「テンポーラ(temporas)/四季に行う斎日」が語源となった説があります。
カトリックでは、四季に行う斎日で祈祷と断食を行い、その間はお肉ではなく、魚や野菜を小麦粉で衣をつけて揚げた料理を食べていたそうです。
最初に入ってきたのは長崎で、この頃の天ぷらは砂糖や塩、お酒で味付けをして食べていました。
当時は油が貴重品で庶民が食べることはできませんでした。
文献に天ぷらが出てきたのは江戸時代で、1669年に発刊された「食道記」に記述されています。
その頃には油は庶民でも気軽に使えるようになり、天ぷらは人気メニューとなりました。
屋台で販売されるようになり、揚げたての天ぷらを串にさして立ち食いするスタイルが確立されたのです。

衣をつけた揚げ物の歴史

小麦粉の衣をつけた揚げ物は6世紀のペルシャが起源だとされています。
ペルシャの王様ホスロー1世アヌーシールワーンは、甘酸っぱい牛肉の煮込み料理「シクバージ」が好物でした。
たくさんの種類の香草で風味付けをして大量の酢でつけた料理でしたが、レシピが変化していき、13世紀のエジプトでは衣をつけて揚げた魚のシクバージのレシピが残っています。
魚のシクバージは小麦粉をまぶしてから揚げた魚を、酢とはちみつと香辛料で味付けしたものです。
その後、地中海を通して西へ伝わっていきますが、それにつれて料理名やレシピも変化していきました。

フランスでは揚げドーナツのような「ペニエ」が有名です。小麦粉の生地を油で揚げて砂糖をかけたお菓子として知られていますが、ジャガイモやズッキーニといった野菜に衣をつけて揚げるものもあります。
スペインでは小魚を丸ごと揚げた「ペスカド・フリット」は、ユダヤ人の安息日の料理として親しまれました。
これを酢漬けにしたのが「エスカベッシュ」で、アンダルシア地方で今も伝わる料理です。日本では南蛮漬けとして知られています。

1500年代初めのポルトガルに、シクバージから派生した料理が誕生。小麦粉をつけて揚げた料理のことを「エスカベーチェ」といいます。
揚げたてではなく、作り置きしたものを食べることが多いようです。なお、日本の天ぷらようにサクサクとはしていません。
その後、日本にも伝わり天ぷらとなったのです。

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